死後の世界について大胆に想像してみた

思想

一口に臨死体験と言っても、それが死後の世界の真実性を強く感じさせる体験もあれば、そうではなく夢や幻覚の類いだと感じさせるものもある。

また、催眠や麻薬などによっても、その内容や真実性に多少の劣りはあるものの、臨死体験に近い体験をすることがあるようだ。

これらの違いは何を意味するのでしょうか。

私はこれらの違いの意味を考えることによって、もし死後の世界が存在するとしたら、それがどのようなものであるかを想像する手がかりがつかめるのではないかと考えます。

臨死体験やその類似の体験には多くの要素があり、人によって体験する要素の組み合わせは異なるし、体験する要素の多い少ないもあるが、多くの人々が体験した全ての要素の中から、真実性の高い要素と、真実性の低い要素とを分類することが出来るならば、死後の世界を想像することが出来るのではないでしょうか。

つまり、真実性の低い要素を除いて、真実性の高い要素だけを残せば、それが死後の世界を仮定することに繋がっていくのではないでしょうか。

なぜ、私がそのように考えているのかを、以下で説明していきたいと思います。

死後の世界の有無については誰にも分からない。

もちろん私なんかにも到底分かりません。

しかし私は、どちらかと言うと存在するのではないかと思っています。

どの程度で思っているのかと言うと、「存在する」が8で、「存在しない」が2くらいの感じです。

理由は、数多くの輪廻転生や臨死体験の報告があり、その幾つかは信頼するに値する証拠を提示していると感じていることと、様々な地域や年代の人々からの数多くの報告の全てが、捏造や本人の勘違いや何らかの間違いである確率は極めて低いと思うからです。

そこで大胆ではあるが、死後の世界がどのようなものであるかを、ここで想像していきたいと思います。

輪廻転生については、イアン・スティーブンソン博士を始めとする信頼できるそれなりの多くの科学者が、かなり綿密に調査をした結果として、実際に輪廻転生したと考えるしか解釈するのが難しいという事例が少なからず示されている。

そういったものが少なからず示されているということ自体が、それに反する人々の主張を上回って、確率論的に真実であることを示す最たる証拠と言えるのではないでしょうか。

臨死体験については、恐らく輪廻転生を遥かに超える数の事例が報告されていると思われる。

それらの事例のほとんどは、それが肉体から離れても意識が存在することが、真実であると証明するに足るものではない。

しかし、それなりの多くの事例においては、それが真実であると考えるのが最もふさわしいという証拠を突き付けているように思われる。

臨死体験研究の第一人者であるレイモンド・ムーディー博士は、立花隆氏の著書の中で、次のように言っています。

「私は、世界中の臨死体験研究者のほぼ全員に会い、その研究について聞いてきた。そのほとんどは、臨死体験とは死後の世界をかいま見ることだと心の底で思っているのは確かである。しかし科学者や医師としては、肉体が死んだ後も人間の一部は生き続けるという、“科学的証拠”がまだ提出できていない。このような証拠がないため、研究者は、自らの本心を明らかにすることができずにいる。・・・・・」

臨死体験を研究してきた者のほとんどが、本心では死後の世界を信じているという事実は、死後の世界が存在することの真実性を、後押ししているように伺える。

輪廻転生や臨死体験において、死後の世界が存在することを証明すると考えられる事例として、どのようなものがあるかについて興味がある方は、下記を参照してください。

死後の世界はあるのか

死後も魂が存続するということを示唆するものは、このように輪廻転生か臨死体験のどちらかである。しかし、輪廻転生は前世の記憶であり、あの世がどのようなものかということに関しては、基本的には教えてくれない。

従って、あの世がどのようなものかを想像する手がかりとなるものは基本的には臨死体験からとなるであろう。

しかし、一括りに臨死体験と言っても、真実性の高いものもあれば、ほとんど夢に近いと感じられるようなものも多くある。

そして、催眠・麻薬・宗教的神秘体験・感覚遮断・てんかんなど、臨死体験と似た体験ではあるが、その濃度やインパクトが弱く、内容が支離滅裂な傾向があり、場合によっては明らかに幻覚と思われるケースもあり、全てではないとしても全体的には脳内現象と捉えるのが妥当だと思われる現象も多々存在する。

そして、それらの脳内現象と捉えるのが妥当だと思われる現象によって臨死体験と似た体験が起こるからには、臨死体験も単なる同様の脳内現象に過ぎないと考える脳科学者なども多くいる。

ここにおいては、臨死体験が存在する一方で、これらの臨死体験と似た体験ではあるが、脳内現象と捉える方が合理的というものも存在する事実を、どのように解釈すべきかを考えていきたいと思います。

この解釈を考えるに先立って、まず臨死体験の内容を検証していきたいと思います。

臨死体験を分析していくと、体外離脱・心の安らぎ・トンネルに入る体験・光に包まれる・神に会う・他者に会う・人生回顧・等々多くの要素から構成される。

そして人によって体験する要素の組み合わせは異なるし、体験する要素の多い少ないもある。

それらの多くの人々が体験した要素を集約して、そのインパクトの強さや出現頻度の高さなどから、主たる構成要素と考えられるもの、或いは中核をなす体験と考えられるものをコア体験と呼び、そうでない部分とは区別することが出来る。

また、文化や宗教などの違いに関係なく全ての人が同じ体験をしている部分と、文化や宗教などの違いによって特徴的な体験をしている部分によって構成されているということが報告されている。

これらのコア体験か否かや、文化や宗教などの違いに関係がない体験か否か等を総合して、より多くの人が普遍的に見る部分とそうではない部分があることを、どう解釈すべきなのであろうか。

これは、臨死体験と言っても、生き返って戻って来るわけだから、その臨死体験期間中には、あの世に近い状態にいる時もあれば、この世に近い状態にいる時もあると考えることによって説明はつく。

あの世に近い状態にいる時には、この世との関係がほとんど断絶されているので、より多くの人が普遍的に見る部分を体験しているのではないであろうか。

一方で、この世に近い状態にいる時には、この世との関係が密接であるために、普遍的ではない個人差のある部分の体験をしているのではないであろうか。

つまり、臨死体験のうち、より多くの人が普遍的に見る部分の体験が、あの世の実在に近いものであり、普遍的ではない個人差のある部分の体験は、あの世の実在を表しているのではなく、各個人それぞれの考え方や感覚などを色濃く表していて、ほとんど脳内現象なのではないであろうか。

実際に、ある研究グループの集めた事例からは、臨死体験者が生理学的に死に近い状態にあればあるほど、精神的機能が増進したと答える者の割合が顕著に増加したと報告している。

生理学的に死に近い状態とは、深い臨死体験でありあの世に近い状態であり、精神的機能が増進したとは、曖昧さのない明晰な体験で、幻覚からはほど遠くインパクトが強いという意味であるからには、ここまでの推測を裏付ける臨床結果も出ているということになる。

このことからは、あの世には地獄というものはなく、全ての人が同じ死後の世界に行くのではないかということが推測される。

臨死体験において、地獄体験をする人は極めて稀で、個人的考え方や文化・宗教の影響を色濃く受けていると考えるのが妥当だからである。

またそれは、地獄というものが、実在するものではなく、人間の想像から生み出されたものとする、一般的な学術見解と一致する。

臨死体験と言っても、生き返るのだから、脳は死んではいない。

臨死体験中における様々な体験要素の普遍的で土台となる部分は、実際にあの世に行った実体験であり、それへの色付けを脳が行っていると考えるのが、最も妥当なのではないであろうか。

この考え方を用いることによって、催眠・麻薬・宗教的神秘体験・感覚遮断・てんかんなどの、臨死体験と似た体験ではあるが、その深さが臨死体験よりもかなり浅い体験と、臨死体験との関係性をも説明することができる。

より多くの人が普遍的に見る部分の体験をしているような臨死体験時では、あの世に近い状態にいると推測できることは既に述べた。

普遍的ではない個人差のある部分の体験をしている臨死体験時では、この世に近い状態にいると推測できることも既に述べた。

そして、催眠・麻薬・宗教的神秘体験・感覚遮断・てんかんなどの、臨死体験と似た体験ではあるが、その深さが臨死体験よりもかなり浅い体験というのは、先の普遍的ではない個人差のある部分の体験をしている臨死体験時よりも、更にこの世に近い状態にいるということではないであろうか。

別の言い方をするならば、身体の状態に応じて、それを認知する脳や心の状態が変性し、その変性度合いによって、実際のあの世に近い世界に到達するものから、ほとんど幻覚や夢に近い状態まで、深さの幅が全く異なる体験になると言えるでしょう。

実際に、ある科学者は、脳は死後の世界との連結部をなすバルブのようなもので、バルブが開けば、あの世の原風景がかいま見え、バルブが閉じれば、この世の物理的世界しか認識できなくなると考えていたらしい。

つまり、バルブが大きく開いた状態が、より多くの人が普遍的に見る部分の体験をしているような臨死体験時で、バルブが少ししか開いていない状態が、ほとんど幻覚や夢に近い状態ということです。

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