伊賀市と名張市は三重県である(地図参照)。しかし、なぜ三重県にしたのかについては大きな疑問が残る。
両市は滋賀県か奈良県にするのが、どう見ても妥当と思われるからである。経済・文化的に見ても地形的に見ても三重県にしたのには大きな疑問が残るところである。
もしも三重県の全ての地域の経済・文化的な繋がりが、近畿圏よりも中京圏の方が強いのであるならば、この問題に関して強い違和感は残らないであろう。
しかし、実際には三重県の大半の部分は、近畿圏よりも中京圏との繋がりの方が強い一方で、伊賀市と名張市だけは古来より都(飛鳥・奈良・京都など)に隣接して、地理的・歴史的背景から京・大和文化の影響を強く受けており近畿圏との繋がりが強いのである。
つまり、伊賀市と名張市は経済・文化的繋がりにおいて明らかに近畿圏であるのに、都道府県単位で分類すれば中京圏に属してしまうということになってしまうのである。
伊賀には、忍者という日本を代表する伝統文化があり、それは恐らく歴史的に見ても近畿圏に属するものであるのに、それが見方によっては中京圏に分類されてしまったり、曖昧になってしまったりしてしまうのである。また日本を代表する文化人である松尾芭蕉も伊賀市出身だが、やはり近畿圏出身の人と捉えるべきであろう。
都道府県がどちらの地方(関東・中部・近畿・九州等)に属するかについては、経済や文化的繋がりによって分類するか、地形的によって分類するかによって、若干の違いが出てくる場合がある。しかし恐らく一般的により重要視されるのは、経済や文化的繋がりに関してであろう。
三重県は地形的には近畿圏に属し、経済・文化的繋がりにおいては中京圏、少し違うカテゴリーを用いれば東海圏や中部圏に属する。
地形的分類と経済・文化的分類で異なることになるが、経済・文化的に名古屋大都市圏との繋がりが強いことを考慮すれば、一般には中京圏とするのが合理的になるのは大多数の人の納得できるところであろう。
このように三重県自体が中京圏とみなされることには何の問題もない。しかし、伊賀市と名張市が三重県に属することには大きな問題が残るであろう。伊賀市と名張市が経済・文化的繋がりにおいて近畿圏に属し、後術するように地形的に見て近畿圏に属する滋賀県や奈良県に入れるのが適当と思われるからには、滋賀県か奈良県に編入されるのが極めて妥当だからである。
地図を見れば分かると思うが、伊賀市と名張市は大阪や京都などの近畿圏の中核都市に行くほうが、名古屋などの中京圏の中核都市に行くよりも距離的にも時間的にも近くて早い。
そして実際にも近畿圏に通勤する人の方が名古屋圏に通勤する人よりも明らかに多いし、方言を始めとする文化的にも関西色が濃い地方である。また、住んでいる人の意識も名古屋よりも大阪・京都・奈良への帰属意識が強いと聞いている。
それでは伊賀市と名張市を三重県の所属としたのは、地形的理由からなのであろうか。経済・文化的に近畿との結びつきが強く、その点から考えると滋賀県か奈良県に所属させるのが妥当であるからには、少なくとも地形的には三重県に所属させるのが妥当でなければ、両市を三重県の所属としたのは間違いであったということは、誰の目から見ても明らかではないであろうか。
ところが、地図を見てみると地形的にも近畿の滋賀県か奈良県に入れる方が自然なように見える。伊賀市と名張市だけが、他の三重県の大部分を占める地域と、鈴鹿山脈で分断されているからである。
津や四日市や伊勢などを含む伊勢湾や太平洋に面した三重県の大部分を占める地域に対して、伊賀市と名張市だけが鈴鹿山脈で分け隔てられているではないか。
しかも、鈴鹿山脈で隔てられているだけではなく、伊賀市と名張市の個所の分だけ、三重県は関西の方に出っ張って食い込んでいるではないか。
三重県と滋賀県や奈良県との県境は、基本的には鈴鹿山脈で隔てられているのに、伊賀市と名張市の部分だけは、三重県が鈴鹿山脈を越えて不自然に張り出し覆いつくしているのである。地形的に見ても、三重県にするのは明らかにおかしいように見える。
このように伊賀市と名張市は経済・文化的に見ても、地形的にみても明らかに近畿であるからには、滋賀県か奈良県にすべきなのである。私の考えでは忍者が伊賀と甲賀に大きく分類され、甲賀市が滋賀県であることを鑑み、伊賀市は滋賀県に、名張市は奈良県にするのが妥当なように思う。
それではなぜ、伊賀市と名張市は三重県に属することになったのであろうか。これは私の全くの推測に過ぎないが、当初に県境を策定する際に、滋賀県にするか奈良県にするかでもめたのではないであろうか。そして結論が出なかったので、滋賀県でも奈良県でもない三重県にすることで妥結したのではないであろうか。
そのような経緯がなければ、このような不自然な県境は明らかにおかしいと思うのだが、いかがでしょうか。どちらにしても、現在の県境は明らかにおかしいので、今からでも変更するように動くべき問題と考えるのだが、いかがでしょうか。
福井県の嶺南地方も滋賀県にした方が良いのでは?
伊賀市と名張市は、三重県ではなく滋賀県か奈良県に変えた方がいいのではと考えていると、福井県の嶺南地方についても同じようなことが言えるのではないかと思えてきました。
福井県は主に嶺北地方と嶺南地方に分類できます。そのうち嶺南地方とは、福井県南部の若狭湾沿岸地域のことで、かつては滋賀県に含まれていたときもあったそうです(地図参照)。
そして嶺南地方は、経済・文化的にも地形的にも明らかに近畿地方である。なのに福井県が不自然に張り出してきて、その領域に含めているのは地図を見れば明らかではないでしょうか。
三重県の伊賀市や名張市が近畿圏に含まれる一方で、三重県の他の地域が中京圏に含まれているのと同様に、1つの県の中に近畿圏に含まれる地域と北陸圏に含まれる地域があるということになってしまっているので、是正すべきではないであろうか。
経済・文化的にも地形的にも明らかに、三重県の伊賀市や名張市は滋賀県か奈良県に属すべきであり、福井県の嶺南地方も東部と中部地区は滋賀県に、西部地区は京都府に入れるのが極めて自然なのではないでしょうか。それにも関わらずそうしていないということは、近畿圏に含めたくない、つまり近畿圏を小さくしたいという、東京の中央権力の意図があったのではないかと思えてならない。
このページの先頭へ戻る。
1つ前のページへ戻る。
ホームへ行く。