なぜ食品ロスを困窮している人に回すことが出来ないのか

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世の中には、まだ十分に食べられるのに、多くの食品が廃棄されています。一方で、日本のような先進国であるにも関わらず、お金がなくて毎日の食事に要する費用にも困っている人が多くいます。

この状況を考えると、廃棄される食品をかなりの低価格で、毎日の食事代に困窮している人たちに回す仕組みをつくらなければなりません。

これは社会の中の一部では実施されていて、テレビなどでも報道されています。しかし、あまりにも小規模すぎるので、大多数の人にとっては自分に関係のない世界で行われていることに過ぎません。

あまりにも小規模であるため、毎日の食事代を少しでも安くしたいと願う大多数の人は、恩恵を受けることが出来ないでいるのです。だから、もっと大規模な形で実施されなければ、社会全体として見れば、ほとんど意味はないというのが実情なのです。

人々が日常に使用するスーパー等の場所で行われないと、大多数の人にとっては遠い世界の出来事にしかならないのです。

廃棄される食品をかなりの低価格で、毎日の食事代に困窮している人たちに回す仕組みを、誰もが利用できる形で大規模に実施しなければならないことは当たり前のことなのですが、その当たり前のことが進行しないのはなぜなのでしょうか?

それは、食品を廃棄する会社等に対して、食品を廃棄する際には、ある一定のルールに基づいた食品ロスを削減する取り組みをしてからでないと、食品を廃棄してはいけないことを義務付ける法律がないからです。

法律がなければ、他者との競争との兼ね合いで、食品ロスを減らす取り組みが進まないのではないでしょうか。他社が食品ロスを減らす取り組みをしていないのに、自社だけがその取り組みをすれば、競争に負けてしまうでしょう。

もちろん、食品ロスを減らす取り組みが利益になるのならば問題はないでしょう。しかし、現状においては、一般的には利益に結びつけることは難しく、それへの取り組みは社会問題の解決のために利益度外視ということになってしまうでしょう。

だから、こういった問題を解決するためには、法律をつくって、つまり国が率先して動かないと無理なのだと思います。でも、国は食品ロスの問題を口にしながらも、効果的な方策を提言することが全くできていないのです。

私は次のような法律が必要だと考えます。それは、食品を消費者に販売する者に対して、食品を廃棄する際には、前もって実施しなければならないことを具体的に定めるのです。

ここで言う食品を消費者に販売する者というのは、スーパー・デパート・コンビニエンスストア・ドラッグストア・飲食店などのことです。

対象は、ある一定規模以上で、基本的には個人経営の場合を除くということですが、飲食店の場合は個人経営の場合であっても対象にしなければならないのではと考えています。

そして、食品を販売する者を、次の2つの形態に分類し、それぞれについて食品を廃棄する際には、前もって実施しなければならないことを定めるのです。

  • スーパー・デパート・コンビニエンスストア・ドラッグストア等(以下スーパー等)の、消費者が飲食物を家に持って帰るものを販売する店。
  • 飲食店(消費者が飲食物をその場で飲食する)。

1,スーパー等の場合                                           スーパー等の場合には、総菜とそれ以外のものとで、食品を廃棄する前に、実施しなければならないことは異なります。

・総菜の場合                                        賞味期限が切れた総菜は、期限切れ以降一定期間、半額以下(できる限り値下げ幅は7割以上になるように努力する)で安売りしなければならないこととする。ワゴンを設置する等して、期限切れのコーナーを設け、翌日以降などに販売する。

それでも売れ残った場合には、その時点以降の適切なタイミングで、その時点に出勤している全従業員に対して、廃棄する食品があるが持って帰らないかと確認する。

ただし、消費者や従業員が賞味期限切れの食品を食べたことによって体調を悪くしたとしても、販売者には一切責任がないことにする。このような取り組みが進まない大きな原因の1つが、責任問題にあるからです。

その為には、国や地方自治体は販売者に責任がないことを明確にすると共に、消費者等への周知を行うこととする。また、可能な限りで構わないので、販売者も張り紙等で周知努力をすることとする。

そんなことをして販売する店に負担をかけることによって、総菜というものが世の中から無くなってしまったらどうするのか。

それはそれで仕方のないことでいいのではないでしょうか。食品ロスを減らすことは、総菜の存在有無よりも重要だというように社会が変化してきていると捉えるべきなのではないでしょうか。

・総菜以外の場合                                    店舗で売っている総菜以外の全ての食品(肉や魚や野菜や果物などの生鮮食品、加工食品、調味料、飲料水等)で古くなって廃棄する以外に方法がなくなってしまったものは、1日の営業時間の終了時間等、必ず1日1回はその時点で出勤している全従業員に対して、廃棄する食品があるが持って帰らないかと確認する。

この場合も、持って帰った食品を食べたことによって体調を悪くしたとしても、店舗には一切責任がないこととし、国や地方公共団体はそのことに対して明確な態度で臨むこととする。

2,飲食店(消費者が飲食物をその場で飲食する)の場合

調理済みの完成品はもちろん、まだ調理していない素材のままの状態のものも全て含めて、古くなって廃棄する以外に方法がなくなってしまったものは、1日の営業時間の終了時間等、必ず1日1回はその時点で出勤している全従業員に対して、廃棄する食品があるが持って帰らないかと確認する。

この場合もスーパー等の場合と同様、持って帰った食品を食べたことによって体調を悪くしたとしても、店舗には一切責任がないこととし、国や地方公共団体はそのことに対して明確な態度で臨むこととする。

このようにすれば、小売業者から出る食品ロスの多くが削減できるのではないでしょうか。

それだけではなく、それらの従来まで食品ロスになっていたものを、それらはまだ十分に食べられると考えている人々(そのように考えている人々はかなり多く、私の感覚では国民の半数は下らないでしょう。)に極めて安価で、または無料で提供することができるのです。

これを実施するのに必要なことは、ただ法律をつくるだけでいいのです。賞味期限が切れた総菜を翌日以降に陳列して売ることは、確かに手間になるかも知れませんが、それほど大きな手間になるとも思えません。

それに他の同業種の人たちもやらなければならないからには、自分のところだけがやって競争に不利になるということを心配しなくてもいいのです。

だからこの法律を施行することによる負担は大きくはないのです。それで食品ロスと貧困問題に大きく貢献するのだから、やらない理由はないように思います。

私は以前、回転寿司のチェーン店で働いていたことがありますが、そこではレーンに流れていた商品が売れ残った場合には、それはゴミ箱に捨てなければならなかったのです。定かではないのですが、他のチェーン店でもそのようなことが行われていると聞いたことがあります。

その理由は、レーンに流れているものが売れ残った場合には、その商品をその場で食べたり持って帰ったりすることが出来るのならば、必要以上に商品をレーンに投入して、売れ残った商品を食べたり持って帰ったりするということが起こる可能性があるからということです。

それを聞いて私は、本末転倒だと憤慨しました。安い賃金で長時間働かせながら、その上にまだそんなセコイことを言うのかと。

必要以上に商品をレーンに投入されるのが嫌なら、そのようなことをしているのを見た時点で指示を出せばいいだけだと思うのですが。いまどきの雇用者は皆おとなしいので、店長にそう言われたら怖がって素直に従いますよ。

その指示する手間を嫌がるためだけに、食べたり持って帰ったりすることが出来ずに、食品ロス削減や家計支援を出来なくさせるのは本末転倒以外の何物でもないのではないでしょうか。

このような非常識がまかり通る我が国においては、国が率先して法律をつくって指導することによって、世間の常識を変えていかなければならないのではないでしょうか。

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