サッカーが最も強い都道府県は何処なのかを検証したいと思います。検証する条件は次の3つにしたいと思います。
1つめはサッカーが始まった当初から現在に至るまでの名選手の輩出数、2つめは高校サッカー3大全国大会(全国高校サッカー選手権大会・インターハイ・高円宮杯U-18サッカーリーグ)の優勝回数、3つめは現役Jリーガーの数です。
そして上記3つの条件の内、名選手の輩出数を最も重点を置いた条件とし、それよりも重点の低い条件として、高校サッカー3大全国大会の優勝回数と、現役Jリーガーの数を同ランクで扱いたいと思います。
本当は、現役Jリーガーの数よりも、高校サッカー3大全国大会の優勝回数に重点を置きたかったのですが、そうしなかった理由は次のようなものです。
例えば野球であるならば、ほとんど全ての高校球児がどこかの高校野球チームに所属しているので、甲子園の優勝チームがその年代のNo1であることが、ほぼ確実です。
しかし、サッカーの場合には、昨今においてはJリーグのユースチームに所属する選手も多くいるため、高校サッカーの優勝チームが、その年代のNo1であるとは言い切れない側面があります。
その点を考慮して、高校サッカー3大全国大会での優勝の価値を少し差し引いて、現役Jリーガーの数と同じとしました。
次に、名選手の輩出数の基準をどうするかですが、野球のようなスポーツであれば、投手の勝利数やセーブ数、打者の安打数や本塁打数のように、具体的な数値で成績が表れますが、サッカーの場合には得点とアシストくらいしか数字には表れません。
しかも得点とアシストは主に攻撃的な選手の成績であるため、それだけを適用したのでは守備的な選手には不利な条件となってしまいます。
また、何処のクラブでどれくらい活躍したかを基準にしようとしても、日本のJリーグのクラブに主に所属しているプレーヤーと、スペインやイギリスなどの海外のクラブに主に所属しているプレーヤーを、客観的に比較することは困難です。
同様に、選手の得てきた名声や、ワールドカップやオリンピックなどの国際試合での活躍で比較するのも、主観的判断の域を出ません。
また、選手の年俸等の市場での金銭的価値で判断するのも、時代の違いなどの様々な点から、どれだけ名選手なのかを正確に示しているとは思えません。
そのような中で唯一の客観的指標となる数字はと考えると、日本代表での出場試合数しかないのではと考え、異論はあるかも知れませんが、それを基準に選ぼうと思います。
具体的には、まず日本代表出場試合数ランキング100位以内の選手を、都道府県毎に抽出します。その後、各都道府県毎に抽出された選手の、日本代表での出場試合数を全て合計した数値によって順位を決めたいと思います。
例を示すと、ある都道府県に100位以内の選手が2人いて、1人の日本代表での出場試合数が57で、もう1人が35であれば、その都道府県のポイントは92で、このポイントの多さによって名選手の輩出数ランクを決めるということです。
1,日本代表出場試合数ランキング100位以内の選手は、2021年6月15日現在
2,高校サッカー3大全国大会の優勝回数は、2021年2月1日現在
3,高校サッカー3大全国大会において、両校同時優勝の場合には、優勝回数として両校に0.5回を与える。また、高校サッカーの選手権大会は、第8回大会までは関西の学校のみ参加の開催で全て兵庫県勢が優勝しており、兵庫県の優勝回数にはそれも含まれています。
4,現役Jリーガーの数は、2020年当時
2、高校サッカーの全国大会で近畿勢が勝てなくなったのはなぜか?
1位 静岡県
1位は静岡県で問題ないでしょう。名選手の輩出と高校サッカー3大全国大会の優勝回数でトップです。特に名選手の輩出に関しては2位に倍近くの差を開けてのぶっちぎりのトップで、その内訳の選手を見てもビッグネームが多くいます。
ただ、現役Jリーガーの数を見ていただければ分かると思いますが、ここ最近においては東京や大阪などの大都市都道府県に覇権の座を奪われている感もありますし、全体的な地位の低下傾向も免れないでしょう。
1993年にJリーグが始まり、今まで大して人気のなかったサッカーが、野球と並ぶ人気スポーツとなることにより、全国的にサッカー熱が高まり、各地域での選手育成なども盛んになったからには、静岡県の地位低下はある意味で必然であり、それを防ぐのは簡単ではないかもしれません。
とはいえ、上位にランクされているのが関東や関西の人口が多い都道府県が多い中で、人口360万前後の静岡県が、今まで日本のサッカー界を圧倒的に引っ張り、今なお輝き続けていることは称賛に値するでしょう。
日本代表出場試合数ランキング100位以内の選手(16人)
川口能活 116試合
長谷部誠 114試合
三浦知良 89試合
内田篤人 74試合
名波浩 67試合
堀池巧 58試合
相馬直樹 58試合
高原直泰 57試合
杉山隆一 56試合
小野伸二 56試合
中山雅史 53試合
山口芳忠 49試合
服部年宏 44試合
松永成立 40試合
碓井博行 38試合
田中誠 32試合
合計 1001試合(1位)
その他の主な選手
長谷川健太、澤登正朗、西澤明訓など
高校サッカー3大全国大会の優勝回数 30回(1位) *留意事項の3を参照
選手権大会10回、インターハイ12回、U-18サッカーリーグ8回
現役Jリーガーの数 78人(6位)
2位 埼玉県
2位は埼玉県です。名選手の輩出が2位、高校サッカー3大全国大会の優勝回数が4位、現役Jリーガーの数が4位と、どの部門も安定して高位置にいます。
ただ、昭和の頃の輝きに比べると、現在の地位は相対的に低下していると言えるでしょう。
特に高校サッカー3大全国大会の優勝回数は顕著に低下していますし、名選手の輩出に関しても全国的な地位は低下しているでしょう。
日本代表出場試合数ランキング100位以内の選手(9人)
中澤佑二 110試合
川島永嗣 93試合
永井良和 69試合
落合(山田)弘 63試合
原口元気 61試合
横山謙三 49試合
川上信夫 41試合
斉藤和夫 32試合
水沼貴史 32試合
合計 550試合(2位)
その他の主な選手
佐藤寿人、西野朗など
高校サッカー3大全国大会の優勝回数 16回(4位) *留意事項の3を参照
選手権大会13回、インターハイ3回、U-18サッカーリーグ0回
現役Jリーガーの数 118人(4位)
3位 広島県
3位は広島県です。高校サッカー3大全国大会の優勝回数や現役Jリーガーの数はそれほどでもないですが、名選手の輩出は2位の埼玉県に僅かながら及びませんでしたが、4位の兵庫県には大きく差を広げての3位です。
当調査においては、名選手の輩出に最も重きを置いているので、堂々の3位と言ってよいのかと思います。
また、広島県の人口は300万人弱で、上位にランクされている都道府県の多くが、もっと多くの人口を抱えていることを考えれば、その点においても結果は素晴らしいものであると言えるでしょう。
ただ、名選手の輩出にしても、高校サッカー3大全国大会の優勝回数にしても昔のものが多く、近年における地位は大きく低下していると思われます。
日本代表出場試合数ランキング100位以内の選手(11人)
森島寛晃 64試合
小城得達 62試合
宮本輝紀 58試合
金田喜稔 58試合
森孝慈 56試合
木村和司 54試合
荒井公三 47試合
森重真人 41試合
渡辺正 39試合
槙野智章 38試合
古田篤良 32試合
合計 549試合(3位)
その他の主な選手
永井謙佑、ハーフナー・マイクなど
高校サッカー3大全国大会の優勝回数 9.5回(6位) *留意事項の3を参照
選手権大会8回、インターハイ1.5回、U-18サッカーリーグ0回
現役Jリーガーの数 33人(13位)
4位 兵庫県
4位は僅差で兵庫県にしました。名選手の輩出や高校サッカー3大全国大会の優勝回数で、少し後続を上回ると判断しました。
高校サッカー3大全国大会の優勝回数は、そのほとんどが高校サッカーが始まった頃の非常に古い時期のもので、印象的にはかなり悪いのですが、反対に堂安律・香川真司などの近年におけるビッグネームを輩出していることが、印象的にかなり良いのではと思いました。
日本代表出場試合数ランキング100位以内の選手(4人)
岡崎慎司 119試合
香川真司 97試合
加地亮 64試合
大仁邦彌 44試合
合計 324試合(4位)
その他の主な選手
昌子源、堂安律、明神智和など
高校サッカー3大全国大会の優勝回数 19回(3位) *留意事項の3を参照
選手権大会18回、インターハイ0回、U-18サッカーリーグ1回
現役Jリーガーの数 52人(8位)
5位 東京都
5位は東京都にしました。名選手の輩出では大阪府に少し劣るように感じたのですが、高校サッカー3大全国大会の優勝回数と現役Jリーガーの数を考慮すると、わずかながら大阪府よりも優位なのではないかと感じました。
現役Jリーガーの数が1位ということは、現在における最強都道府県と見てとることも出来るように思いますが、人口が突出している割には物足りない数字ともとれます。
また、選手の顔ぶれを見ても6位の大阪府よりもインパクトに欠けるような気がします。
日本代表出場試合数ランキング100位以内の選手(5人)
都並敏史 78試合
中村憲剛 68試合
北澤豪 58試合
坪井慶介 40試合
片山洋 38試合
合計 282試合(6位)
その他の主な選手
権田修一、中島翔哉、松木安太郎、武藤嘉紀など
高校サッカー3大全国大会の優勝回数 8回(7位) *留意事項の3を参照
選手権大会5回、インターハイ3回、U-18サッカーリーグ0回
現役Jリーガーの数 176人(1位)
6位 大阪府
6位は大阪府にしました。野球やラグビーは図抜けて強いという印象に対して、サッカーはそれほどでもないという印象もあるかと思いますが、輩出している選手などを見ると、サッカーもかなり強いことが分かります。
特に選手の顔ぶれは、本田圭佑などかなり有名な選手が揃っています。
また、1998年と2010年の2度のワールドカップで監督を務めた岡田武史や、Jリーグ初代チェアマンでマスコミなどにも多く出演していた川淵三郎など、指導者やサッカーの発展に貢献した人などもいて面白い顔ぶれです。
日本代表出場試合数ランキング100位以内の選手(4人)
本田圭佑 98試合
稲本潤一 82試合
宮本恒靖 71試合
西村昭宏 49試合
合計 300試合(5位)
その他の主な選手
大黒将志、岡田武史、柿谷曜一朗、川淵三郎、南野拓実など
高校サッカー3大全国大会の優勝回数 5回(9位) *留意事項の3を参照
選手権大会4回、インターハイ1回、U-18サッカーリーグ0回
現役Jリーガーの数 136人(3位)
7位 千葉県
7位は千葉県です。高校サッカー3大全国大会の優勝回数が2位で、しかも比較的に近年の優勝が多いことなどを考えると、6位の大阪府とは僅差であると思います。
ただ残念なのは、選手の輩出においてインパクトのある選手が少ないということでしょうか。
日本代表出場試合数ランキング100位以内の選手(4人)
玉田圭司 72試合
酒井宏樹 65試合
阿部勇樹 53試合
名良橋晃 38試合
合計 228試合(7位)
その他の主な選手
羽生直剛など
高校サッカー3大全国大会の優勝回数 22回(2位) *留意事項の3を参照
選手権大会7.5回、インターハイ11.5回、U-18サッカーリーグ3回
現役Jリーガーの数 103人(5位)
8位 神奈川県
8位は神奈川県です。輩出してきた選手の顔ぶれや現役Jリーガーの数を見れば、現在の最強都道府県を争う1つになると思われます。
また2021年に行われた東京オリンピックの日本代表チームに最も多くの選手を送り込んでいるのも神奈川県です。
評価を下げたのは、高校サッカー3大全国大会の優勝回数が3回で、ベスト10の圏外であることですが、近年においてはインターハイで3度優勝するなど、高校サッカー界における地位は上昇しています。
また、選手の顔ぶれを見ても、中村俊輔や久保建英などのビッグネームを輩出しています。
日本代表出場試合数ランキング100位以内の選手(4人)
中村俊輔 98試合
福田正博 45試合
森岡隆三 38試合
前田遼一 33試合
合計 214試合(8位)
その他の主な選手
伊東純也、遠藤航、岡野雅之、久保建英など
高校サッカー3大全国大会の優勝回数 3回(ベスト10圏外) *留意事項の3を参照
選手権大会0回、インターハイ3回、U-18サッカーリーグ0回
現役Jリーガーの数 151人(2位)
次候補①:京都府
高校サッカー3大全国大会の優勝回数や現役Jリーガーの数は大したことはないが、名選手の輩出に関してはかなりハイレベルな感じがします。特に釜本邦茂を輩出しているということにはインパクトを感じます。
日本代表出場試合数ランキング100位以内の選手(3人)
釜本邦茂 76試合
柱谷哲二 72試合
前田秀樹 65試合
合計 213試合(9位)
その他の主な選手
宇佐美貴史、柱谷幸一、松井大輔など
高校サッカー3大全国大会の優勝回数 1.5回(ベスト10圏外) *留意事項の3を参照
選手権大会1.5回、インターハイ0回、U-18サッカーリーグ0回
現役Jリーガーの数 25人(ベスト10圏外)
次候補②:長崎県
高校サッカー3大全国大会の優勝回数が全国屈指です。また、名選手の輩出に関してもそれなりのものがあります。
日本代表出場試合数ランキング100位以内の選手(3人)
吉田麻也 107試合
高木琢也 44試合
森保一 35試合
合計 186試合(ベスト10圏外)
その他の主な選手
勝矢寿延など
高校サッカー3大全国大会の優勝回数 14.5回(5位) *留意事項の3を参照
選手権大会6.5回、インターハイ6回、U-18サッカーリーグ2回
現役Jリーガーの数 16人(ベスト10圏外)
次候補③:福岡県
名選手の輩出・高校サッカー3大全国大会の優勝回数・現役Jリーガーの数の全てにおいて相対的にハイレベルです。
日本代表出場試合数ランキング100位以内の選手(2人)
大久保嘉人 60試合
久保竜彦 32試合
合計 92試合(ベスト10圏外)
その他の主な選手
冨安健洋、本山雅志、本田泰人など
高校サッカー3大全国大会の優勝回数 7回(8位) *留意事項の3を参照
選手権大会3回、インターハイ3回、U-18サッカーリーグ1回
現役Jリーガーの数 44人(10位)
次候補④:鹿児島県
先に紹介した次候補3つに比べると少し劣る感じもありますが、それほど遜色がないと思います。
日本代表出場試合数ランキング100位以内の選手(2人)
遠藤保仁 152試合
大迫勇也 49試合
合計 201試合(10位)
その他の主な選手
前園真聖など
高校サッカー3大全国大会の優勝回数 2.5回(ベスト10圏外) *留意事項の3を参照
選手権大会1.5回、インターハイ0回、U-18サッカーリーグ1回
現役Jリーガーの数 30人(ベスト10圏外)
2高校サッカーの全国大会で近畿勢が勝てなくなったのはなぜか?
全国高校サッカー選手権大会においては、首都圏開催となった1976年度の第55回大会以降、近畿勢はほとんど勝てなくなったがそれはなぜか。
当記事の調査を見る限りでも、近畿からは多くの名プレイヤーが生まれ、決してレベルが低い地域であるとは思われないのに、それはなぜなのでしょうか。
これはあくまで私の主観ですが、選手権大会のテレビ中継などを観て感じたことは、試合が行われている競技場の雰囲気が近畿勢に勝たせたくないという雰囲気で溢れているということです。
これは大学ラグビー選手権でも感じます。関東のチームと関西のチームが戦っているときに、関東のチームがボールを持って攻めているときの競技場のざわめきは圧倒的なものがあるように感じます。
近畿のチームには完全なアウエイに感じます。甲子園の高校野球や花園の高校ラグビーには、ここまでの極端さは全く見受けられないように思います。
しかし一方で、データを見てみると違うようにも感じます。首都圏開催となった1976年度の10年ほど前から始まったインターハイでも近畿勢はほとんど勝っていないからです。
インターハイの場合は、開催地は全国均等になるように毎年変わりますが、それでも近畿勢はほとんど勝っていないからです。
これらのデータを見ると、近畿勢は地元で戦わないと弱いということも考えられます。
もし、そうであれば、近畿で開催される高校野球や高校ラグビーにおいて、最も多くの優勝をしてきている価値も減衰し、その評価は大きく下げなければいけないという考えも間違っていないかもしれません。
野球最強都道府県へ行く。
ラグビー最強都道府県へ行く。
このページの先頭へ戻る。
1つ前のページへ戻る。
ホームへ行く。