野球が最も強い都道府県は何処なのかを検証したいと思います。検証する条件は次の3つにしたいと思います。
1つめは野球が始まった当初から現在に至るまでの名選手の輩出数、2つめは高校野球の甲子園での優勝回数、3つめは現役プロ野球選手の数です。
そして、現役プロ野球選手の数よりも甲子園での優勝回数、甲子園での優勝回数よりも名選手の輩出数に重きを置きたいと思います。
名選手の基準は、日米の通算において、名球会入りの基準である通算200勝または通算250セーブまたは通算2000本安打の達成に2点の修正を加えた。
投手の通算200勝と打者の通算2000本安打では、投手の方が達成するのが困難と思われるので、投手の場合には170勝以上もしくは100勝100セーブを達成した者に関しても名選手とすることにした。
もう1点は、通算250セーブは基準が甘すぎるので通算400セーブとした。どう考えても先発投手1勝の価値は、2セーブ以上の価値があると考えたからです。そうなると今まででそれをクリアしているのは通算407セーブの岩瀬仁紀だけとなるが、それで妥当なのではないでしょうか。
理由は以下です。先発投手と抑え投手の数は、圧倒的に先発投手の方が多いということ。プロ野球発足当初から暫くの間は、抑えという概念があまり存在しなかったということ。少なくとも現在までの日本のプロ野球では、先発・抑え・中継ぎという順番で格付けされているということです。
これらのことを考慮すれば、先発投手の名選手数よりも、抑え投手の名選手数がはるかに少なくなるのは順当な結果と言えると思います
作成日:2021年8月31日
3、もしも野球留学がなかったら高校野球の大阪代表はもっと強かった?
1位 大阪府
1位は大阪府以外には考えられないでしょう。名選手の輩出数、甲子園での優勝回数、現役プロ野球選手の数の全ての項目で1位です。しかも、どの項目も2位に対して、一定の大きさの開きを持っての1位で、余裕の完勝という感じもあります。
特にPL学園出身の選手は多く、大阪府の1位への貢献は絶大です。このことを反対に捉えると、PL学園の存在がなければ、大阪府は1位の座を明け渡していた可能性が高いかもしれません。ちなみにPL学園出身で当記事における名選手の基準を満たしている選手は8人もいて、そのうち6人が大阪府出身です。1つの高校から8人も輩出しているというのは、恐らく全国で断トツの1位ではないかと思います。
強いて弱点を挙げるとすれば、イチローのような日本の歴代を通じても3本に入るような超スーパースターがいないということくらいでしょうか。
とは言っても、都道府県別にチームをつくってプロ野球のような長期のリーグ戦を行なえば、超スーパースターといっても一人の力には限界があるので、粒ぞろいの大阪府が1位になる可能性が最も高いことには変わりはないでしょう。
また、大阪府の場合、名選手の輩出数、甲子園での優勝回数ともに、どの時代でも多いのですが、比較的に最近の方が多いです。そのことは現役プロ野球選手の数が圧倒的なことと並んで、今現在の実力も1位の名に恥じないことを意味し、好印象となるでしょう。
大阪府出身の名選手の基準をクリアしている選手(14人)
投手
・黒田博樹【通算203勝(日米通算)】
・野茂英雄【通算201勝(日米通算)】
・足立光宏【通算187勝】
・桑田真澄【通算173勝】
・上原浩治【通算134勝(日米通算)、通算128セーブ(日米通算)】
・ダルビッシュ有【名選手の基準170勝以上をクリアして、現役続行中】
内野手
・松井稼頭央【通算2705安打(日米通算)】
・立浪和義【通算2480安打】
・宮本慎也【通算2133安打、ゴールデングラブ賞10回】
・清原和博【通算2122安打、通算525本塁打】
・中村紀洋【通算2106安打(日米通算)、通算404本塁打】
外野手
・福本豊【通算2543安打、通算1065盗塁、ダイヤモンドグラブ賞12回】
・土井正博【通算2452安打、通算465本塁打】
・新井宏昌【通算2038安打】
名選手の基準には達しなかったが、それに近い成績や印象を残した選手
尾崎行雄【伝説の剛速球投手】
谷佳知【通算1928安打、生涯打率297】 など
現役の主な選手
浅村栄斗、中村剛也、前田健太、森友哉 など
甲子園優勝回数 25回(春11回 夏14回)
現役プロ野球選手の数 70人(2020年当時)
2位 愛知県
2位から5位は混戦のように思えますが、甲子園での優勝回数が大阪府に次いで2位であるということと、イチローという超スーパースターを輩出していることを考慮して愛知県にしたいと思います。
愛知県からは金田正一を始め名投手が多く輩出されていて、投手力だけなら大阪府を超えているかもしれません。ただ野手に関しては大阪府にかなり見劣りします。
また、甲子園の優勝も比較的に古い時代のものが多く、現役プロ野球選手の数も大阪府はもちろん、兵庫県や東京都や千葉県に比べても見劣りし、地位の低下傾向は否めません。
愛知県出身の名選手の基準をクリアしている選手(9人)
投手
・金田正一【通算400勝、通算4490奪三振】
・野口二郎【通算237勝】
・工藤公康【通算224勝】
・長谷川良平【通算197勝】
・杉浦忠【通算187勝】
・岩瀬仁紀【通算407セーブ】
外野手
・イチロー【通算4367安打(日米通算)、通算708盗塁(日米通算)、首位打者9回(日米通算)】
・山内一弘【通算2271安打、通算396本塁打】
・稲葉篤紀【通算2167安打】
名選手の基準には達しなかったが、それに近い成績や印象を残した選手
・木俣達彦【捕手で通算1876安打、生涯打率277】
・槙原寛己【通算159勝】
・山﨑武司【通算1834安打、通算403本塁打】 など
現役の主な選手
千賀滉大、和田毅 など
甲子園優勝回数 19回(春11回 夏8回)
現役プロ野球選手の数 26人(2020年当時)
3位 兵庫県
3位は、300勝投手を3人も輩出しているという点と、甲子園優勝回数と現役プロ野球選手の数で少し後続よりも良いという点を考慮して兵庫県にしたいと思います。
兵庫県は日本一の投手王国かもしれません。300勝投手を3人と、村山や江夏という後世に名を残す名投手を輩出し、現在でも田中将大という現役屈指の名投手を輩出しています。
ただ、近年は甲子園では兵庫県の高校はあまり強くありません。野球留学による選手流出が多い県とはいえ、それを差し引いても甲子園での活躍に関しては物足りなさを感じます。また名投手の輩出に関しても全体的に古い時代のものが多く、その点も印象的には良くないかもしれません。
兵庫県出身の名選手の基準をクリアしている選手(8人)
投手
・小山正明【通算320勝(歴代3位)】
・鈴木啓示【通算317勝(歴代4位)】
・別所毅彦【通算310勝(歴代5位)】
・村山実【通算222勝】
・江夏豊【通算206勝、通算193セーブ】
・田中将大【名選手の基準170勝以上をクリアして、現役続行中】
捕手
・古田敦也【通算2097安打】
内野手
・坂本勇人【名選手の基準2000安打以上をクリアして、現役続行中】
名選手の基準には達しなかったが、それに近い成績や印象を残した選手
・青田昇【本塁打王5回】
・大下弘【青バットの大下】
・別当薫 など
現役の主な選手
栗山巧、中島宏之、山田哲人【トリプルスリー3回】 など
甲子園優勝回数 13回(春6回 夏7回)
現役プロ野球選手の数 43人(2020年当時)
4位 東京都
4位は東京都です。5位の広島県と微妙な差だと思ったのですが、現役プロ野球選手の数で差があったので東京都を上にしました。
過去から現在に至るまで、バランスよく人材が生まれてきています。世界のホームラン王・王貞治の存在も印象を上げているように思います。甲子園での優勝も近年のものが多く、その点でもやっぱり東京は強いという感じがします。
ただ、これだけ人口が多いのだから、これくらいは当然と言えば当然でしょう。そういう観点から見れば、他の上位の都道府県に比べて魅力的には感じないかもしれません。
東京都出身の名選手の基準をクリアしている選手(8人)
投手
・杉下茂【通算215勝】
・成田文男【通算175勝】
・岩隈久志【通算170勝】
・松坂大輔【通算170勝】
内野手
・王貞治【通算2786安打、通算868本塁打、通算2170打点、本塁打王15回、最優秀選手9回】
・榎本喜八【通算2314安打】
・井口資仁【通算2254安打(日米通算)】
・鳥谷敬【名選手の基準2000安打以上をクリアして、現役続行中】
名選手の基準には達しなかったが、それに近い成績や印象を残した選手
・江藤智
・関根潤三【打者で1137本安打・投手で65勝】
・田淵幸一
・土橋正幸【通算162勝】 など
現役の主な選手
菊池涼介、鈴木誠也 など
甲子園優勝回数 12回(春5回 夏7回)
現役プロ野球選手の数 41人(2020年当時)
5位 広島県
5位は広島県です。どの時代にもバランス良く名選手を輩出しているように伺えます。また、他の上位にランクインした都道府県が全て3大都市圏で、広島県に比べてかなり人口が多い中(最も少ない兵庫県で人口550万人前後)、人口300万人弱の広島県の5位は特筆すべきものだと思います。
ただ、甲子園での優勝は相対的に過去のものが多く、現在は広陵高校だけが強いという程度で、県全体としてはそれほど強いという印象は受けません。
また、現役プロ野球選手の数も24人と特別に多くはありませんが、これに関しては広島県の人口を考えれば、東京都や愛知県などよりも大きな価値があると考えるべきかもしれません。
広島県出身の名選手の基準をクリアしている選手(8人)
投手
・村田兆治【通算215勝】
・山本和行【通算116勝、通算130セーブ】
捕手
・谷繁元信【通算2108安打】
外野手
・張本勲【通算3085安打、通算504本塁打、通算319盗塁、首位打者7回】
・金本知憲【通算2539安打、通算476本塁打】
・山本浩二【通算2339安打、通算536本塁打】
・新井貴浩【通算2203安打】
・広瀬叔功【通算2157安打、通算596盗塁】
名選手の基準には達しなかったが、それに近い成績や印象を残した選手
・鶴岡一人【監督通算勝利数1位】
・藤村富美男【初代ミスタータイガース】
・広岡達朗
・高橋一三【通算167勝】
・高津臣吾【通算313セーブ(日米通算)】 など
現役の主な選手
柳田悠岐、中田翔 など
甲子園優勝回数 12回(春5回 夏7回)
現役プロ野球選手の数 24人(2020年当時)
6位 千葉県
6位は千葉県です。名選手の基準に達する選手は、5位までの都道府県に比べると少なかったのですが、その基準までもう少しという選手を、5位までの都道府県に比べて多く輩出している感じがします。また、ミスタージャイアンツ長嶋茂雄の存在も印象アップに繋がっているでしょう。
そして、現役プロ野球選手の数も39人とハイレベルだと感じます。
大きく評価を下げたのが甲子園優勝回数で、他の都道府県に比べて大きく見劣りしているということです。推測でしかないのですが、これくらい多くの選手を輩出していれば、甲子園での優勝回数ももっと多くなっているのが通常だと思うのですが、東京都や神奈川県などに選手が流れていっているのでしょうか?
千葉県出身の名選手の基準をクリアしている選手(6人)
投手
・石井一久【通算182勝(日米通算)】
捕手
・阿部慎之助【通算2132安打、通算406本塁打】
内野手
・長嶋茂雄【通算2471安打、通算444本塁打、首位打者6回、最優秀選手5回】
・小笠原道大【通算2120安打、通算378本塁打】
・福浦和也【通算2000安打】
外野手
・谷沢健一【通算2062安打】
名選手の基準には達しなかったが、それに近い成績や印象を残した選手
・石毛宏典
・掛布雅之
・篠塚和典
・鈴木孝政【124勝96セーブ】
・高橋由伸 など
現役の主な選手
近藤健介、丸佳浩、涌井秀章 など
甲子園優勝回数 3回(春0回 夏3回)
現役プロ野球選手の数 39人(2020年当時)
7位 和歌山県
7位は和歌山県です。名選手の基準をクリアしている選手は5人で、6位の千葉県に大きく劣っていません。また、甲子園の優勝回数は13回(春5夏8)と、6位の千葉県を圧倒しています。
ただ、名選手の基準には達しなかったが、それに近い成績や印象を残した選手や、現役の主な選手や、現役プロ野球選手の数では6位の千葉県に大きく劣り、層の薄さを感じさせます。
しかし、和歌山県の人口が100万人にも満たないことを考えると、もしかすると単位人口当たりでは日本一の野球県と言えるかもしれません。
和歌山県出身の名選手の基準をクリアしている選手(5人)
投手
・東尾修【通算251勝】
・西口文也【通算182勝】
・真田重男【通算178勝】
内野手
・藤田平【通算2064安打】
・小久保裕紀【通算2041安打、通算413本塁打】
名選手の基準には達しなかったが、それに近い成績や印象を残した選手
・西本幸雄【悲運の名将】
・吉井理人 など
現役の主な選手
筒香嘉智、西川遥輝 など
甲子園優勝回数 13回(春5回 夏8回)
現役プロ野球選手の数 14人(2020年当時)
多くの人が神奈川県は上位に入ってくると思っていたのではないでしょうか。甲子園での優勝回数は14回(春7夏7)と単独3位です。また現役プロ野球選手の数も全国トップレベルです。
しかし、名選手の輩出となると、下記のように山本昌広と柴田勲の2人しかいませんでした。そして本調査の趣旨が、名選手の輩出数に最も重きを置くということに鑑みると、ランクインさせることには無理があると考えました。
神奈川県出身の名選手の基準をクリアしている選手(2人)
投手
・山本昌広【通算219勝】
外野手
・柴田勲【通算2018安打、通算579盗塁】
名選手の基準には達しなかったが、それに近い成績や印象を残した選手
・井端弘和
・原辰徳 など
現役の主な選手
秋山翔吾、菅野智之 など
甲子園優勝回数 14回(春7夏7)
現役プロ野球選手の数 41人(2020年当時)
3もしも野球留学がなかったら高校野球の大阪代表はもっと強かった?
夏の第78回大会から第87回大会までの10年における甲子園出場選手のうち、隣接しない都道府県の中学から高校に入学した選手の総数は916人。
そのうち大阪府出身者は457人で、ほぼ半数を占める。次いで兵庫の59人、神奈川の57人だった。
以下、奈良の40人、京都の34人、東京都の31人、福岡県の24人、埼玉県の23人と続く。
選抜大会でも第77回大会までの10年間では、大阪府出身者が219人で44%を占めた。兵庫37人、神奈川33人と続く。
春も夏も、関西地方からの野球留学が多いことが分かる。その中でも大阪府は断トツに多い。
尽誠学園・柳ヶ浦・敦賀気比・明徳義塾・光星学院・東北・済美・常葉菊川・大垣日大・秀岳館・創志学園・香川西・立正大淞南・福工大福井・広陵など、多くの甲子園の強豪校が、時代によって占める比率は上下するであろうが、大阪府を始めとする関西の野球留学生によって構成されてきたし、ほとんどが大阪府や関西出身者で占められていたチームも数多くあった。
現役プロ野球選手の数を見ても、その傾向は顕著です。以下は近畿圏(2府4県)と関東圏(1都7県)の2020年当時のプロ野球選手(日本)の数と、その内で高校時代に圏外の高校へ野球留学していた人の数と、その割合です。
大阪府 70人
近畿圏以外の高校へ留学 28人(40%)
兵庫県 43人
近畿圏以外の高校へ留学 8人(19%)
京都府 16人
近畿圏以外の高校へ留学 5人(31%)
滋賀県 12人
近畿圏以外の高校へ留学 4人(33%)
奈良県 14人
近畿圏以外の高校へ留学 3人(21%)
和歌山県 14人
近畿圏以外の高校へ留学 3人(21%)
合計 169人
近畿圏以外の高校へ留学 51人(30%)
東京都 41人
関東圏以外の高校へ留学 2人(5%)
神奈川県 41人
関東圏以外の高校へ留学 4人(10%)
千葉県 39人
関東圏以外の高校へ留学 2人(5%)
埼玉県 21人
関東圏以外の高校へ留学 2人(10%)
茨城県 19人
関東圏以外の高校へ留学 2人(11%)
栃木県 9人
関東圏以外の高校へ留学 0人(0%)
群馬県 18人
関東圏以外の高校へ留学 0人(0%)
山梨県 1人
関東圏以外の高校へ留学 0人(0%)
合計 189人
関東圏以外の高校へ留学 12人(6%)
関東と関西を比べた場合、関西の方が野球が盛んという印象がありますが、プロ野球選手の輩出数は関東の方が少し多くなっているようです。やはり、人口が圧倒的に多い関東は、人材も自然に出てくるようです。
しかし、上記の関東1都7県と関西2府4県の人口は2倍以上の差があるので、人口当たりの輩出数は関西の方が2倍くらい多いので、やはり関西の方が野球が盛んなようです。
特筆すべきことは、野球留学して流出している選手の数は、大阪を始めとする関西の方が圧倒的に多いということです。
人口当たりの輩出数が関東より関西の方が2倍くらい多い訳だから、良い選手が見つかり易いということがあるとしても、それだけではこの差は説明できないと思います。これでは関西の高校野球の空洞化も懸念されます。
また、実際に野球留学していた関西出身の選手の名前を挙げても、東北高校のダルビッシュ有(大阪府出身)・駒大苫小牧の田中将大(兵庫県出身)・光星学院の坂本勇人(兵庫県出身)・敦賀気比の内海哲也(京都府出身)・横浜高校の筒香嘉智(和歌山県出身)・中京高校の松田宣浩(滋賀県出身)・東海大相模(第92回夏の甲子園準優勝時のエース)の一二三慎太(大阪府出身)・東海大相模(第97回夏の甲子園優勝時の二枚エースの内の1人)の吉田凌(兵庫県出身)など、少し探しただけでも多くの名前が浮かび上がります。
もしも、これらの関西出身者の野球留学がなかったら、とりわけその中でも大阪府出身の野球留学は断トツに多い訳であるから、大阪府の甲子園での優勝回数はもっと増えていたのだろうか。
それは何とも言えないでしょう。これだけ多くの野球留学生が仮に大阪府内の高校で野球をしていたとしても、それらの選手たちが大阪府内の様々な高校に広く薄く所属したならば、全体のレベルは上がっても、特別に強い高校が出る確率はそんなに上がらないかもしれない。
そうではなく、それらの選手たちが大阪桐蔭や履正社などの大阪府内の2、3の超名門校に集中的に入ってくるなら、今までの大阪代表以上に強い高校が毎年のように出てきて、大阪代表の甲子園優勝も大きく増えていたかもしれない。
実際にどうなっていたかに対して答えを出そうとしても推測の域は出ないので、この疑問に答えを出すのは困難なように思えます。
反対に大阪代表で、昭和後半に甲子園を席巻したPL学園や、平成後半に甲子園を席巻した大阪桐蔭は、全国から選手を集めているので勝って当たり前という批判を受けることもあるが、その辺りは実際にはどうなのでしょうか。
まずPL学園ですが、その批判は当たらないでしょう。PL学園の場合、確かに全国(全国と言ってもほとんどが西日本)から選手を集めていたかもしれませんが、選手構成は基本的には大阪府を中心とした関西出身者で占められていたからです。
だから、PL学園出身のプロ野球選手を見ても、大阪府を中心とした関西出身者が多いです。福留孝介など関西以外の出身の者もいるが、桑田真澄も清原和博も前田健太も大阪府出身であるように、関西出身者が多いです。
それでは大阪桐蔭の場合はどうでしょう。大阪桐蔭の場合もごく最近を除けば、基本的にはPL学園と同じで大阪府を中心とした関西出身者で占められていて、批判は当たらないでしょう。
だから、大阪桐蔭出身のプロ野球選手を見ても、中田翔など関西以外の出身の者もいるが、中村剛也も浅村栄斗も藤浪晋太郎も森友哉も大阪府出身であるように、関西出身者が多いです。
ただ、大阪桐蔭の場合は、2018年の2度目の全国制覇を果たしたチーム(根尾や藤原の世代)あたりから関西以外の出身の選手の比率が上がってきています。このチームの時で、関西以外の出身者は1/3です。
実際にこのチームからその年のドラフトにかけられプロに行った4人の選手を見ると、藤原と横川は関西出身だが、根尾と柿木は関西以外の出身です。
そして、2021年のチームになると、関西出身者と関西以外出身者の選手の比率は、関西以外出身者の方が少し多くなっています。
この傾向が続いていくようだと、大阪桐蔭は全国から選手を集めているので勝って当たり前という批判は、正当性を帯びてくるように思われます。
もっとも、そのような批判が正当性を帯びた中で大阪桐蔭の優勝回数が増えて、それによって大阪府の優勝回数が増えたとしても、大阪府から流出する野球留学生が全国で断トツであるという事情が変わらない限りは、大阪府の優勝回数の価値は減らないと思われます。
大阪桐蔭が全国から選手を集めている数よりも、はるかに多くの選手が、大阪府から全国へ野球留学しているからには、大阪府としては有能な選手を大幅に失っている状態であることに変わりはないからです。
大阪府から全国への選手の流出は、大阪桐蔭が本格的に全国から選手を集めるよりも、ずっと早くから行われています。つまり、大阪府から全国への野球留学が行われなければ、大阪桐蔭は本格的に全国から選手を集める必要は生まれなかったと思われるのです。
サッカー最強都道府県へ行く。
ラグビー最強都道府県へ行く。
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